想イ出
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――形に残るもので思い出を残すこと。
――それはとても心温まる行為で。
――ソレを目にして記憶を呼び起こすことが出来るのは。
――とてもとても優しく、嬉しいもの。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
特
に用事があるわけでもなくその部屋を訪れる回数が増え、ノックをすれば決まって帰ってくる毎回同じ返事を耳にしてからドアノブを回す。中に入れば毛先の短
い、決して高級とは呼べない絨毯のひいてある部屋の奥にあるワークデスクに腰を下ろし、部屋に入ってきた人物の姿を確認するために一度だけデスクから顔を
上げる部屋の主と視線を交わる。
「レンか。どうした」
「や、特になんでもないんだけど」
この言葉のやり取りも、いつものこと。特に用事が無い、という事実を知っていても常に聞いてくるのは、デスクに視線を戻した青年の性格を現しているのだろう。
青
年の邪魔にならないよう無言のままドアを閉め、デスクの傍にある寝台に腰を下ろして作業をしている青年をただ見つめていれば、時折コーヒーを口にする姿
や、面倒くさげに頭を掻きながらタバコに火を点す様などを目にすることが出来る。別段何か面白いことがあるのかと問われることがあれば、決してそんなこと
は無いと答えるところだが、そんな質問も飛んでこないのでレンは寝台に深く腰をかけて床から離れた足をぶらぶらと揺らして彼を見ていた。
レッ
スンが終わり、夕食を終え、寝食を共にしている家族との団欒を終えた後、レンはほぼ毎日彼の部屋を訪れていた。青年の作業が忙しく会話も無く終わる日もあ
れば、布団に入る時間まで話し込んだりもする。過去にはそのまま青年の寝台で眠ってしまい、早朝布団を取られた、と愚痴られたこともあった。
こ
の日もどうやら青年は忙しいらしく、ほとんどレンに視線を向けずひたすら作業に追われており、レンもそんな彼を見て無言のまま寝台に身体を横たえてタバコ
のヤニで黄ばんだ天井の染みの数を数えていた。夏が近づいてタオルケットに変わった布団から香る洗剤の香りが心地よく、真新しいその感触に少し頬を緩ませ
て自分の懐に引き寄せれば更にその香りが強くなる。
上
機嫌で寝台の上を転がっていれば、ふと視界の端に昨日まで見なかったものが目に入り、レンは身を起こしてソレを凝視する。ソレが何なのかを声に出して青年
に聞くことが出来れば早いのだが、今声をかければ限りなく不機嫌極まりない表情で応対されるのが分かっている彼は、余り大きな音を立てないよう注意しなが
ら寝台の傍にある簡易テーブルの上に乗っているソレを手に取った。
「弄るのは構わんが、壊すなよ」
丁度青年からは背を向ける体制になっているにもかかわらず、行動を把握されていることに驚いて振り返れば、やはりデスクの上に広げられている紙面と睨み合っている青年の姿が映り、レンは危うく取りこぼしそうになった手元にある機械に視線を戻す。
「これ……カメラ?」
レ
ンの大きいとはいえない手にもすっぽりと収まる程しかない小さな機械の中心部分にレンズを収納していると思われる部分があり、上部には電源と思われるボタ
ンの他にも大小様々なボタンが付いている。英語で表記されているために確信は持てないが電源と思しきボタンを押せば、微かに起動音が鳴り中心からゆっくり
とレンズが現れて、背面にレンズが映し出している部屋の一部が表示された。
「これ、どうしたの?」
「買った」
自
分の動向を確認するだけの余裕があるのならば答えられるだろうと思い疑問を口にすれば、書類を一枚仕上げきったのかファイルに押し込んだ青年が顔を上げず
手短に答えた。余りにも簡潔すぎる答えに戸惑って少し眉を寄せたレンだが、それ以上聞くと睨まれそうだったので口を噤んでカメラを弄り始める。最新式、と
いうほどのものではなさそうだがそれなりの画素数を保持したデジカメであり、背面に表示されている画像もそれなりに綺麗に映し出されている。ファインダー
と呼ぶような箇所の無い、昔からの形をしたカメラではないが、今まで触れたことの無かった機械に触れてレンは口元を緩ませながらカメラ越しに部屋の中を見
渡す。普段何気なく見ているその部屋の中も、カメラ越しに見れば今まで見たことが無いような景色であるように感じ、彼は部屋の中をうろうろと歩き回りなが
ら本棚やテーブル、クローゼットといった様々な家具にカメラを向ける。
「撮ってもいい?」
「壊さなければ構わん」
作
業に没頭している青年にもカメラを向けながら問い、やはり簡潔な返答が来るがレンは気にする事無く、むしろ笑みを深めて部屋の中をカメラに収めていく。視
界に入るものを切り取った一枚の絵と変える面白さが少年を夢中にさせ、幾度もシャッター音が眩い光と共に発せられ、青年の部屋の全てを撮りつくそうとす
る。
音
と光が気になりはするが、それで業務に支障を来している訳でもないので青年もレンを放っておき、ようやく最後の書類に差し掛かった、と凝り固まった肩を解
そうと首を回した。一応デジカメを買った理由というのも彼にはあったのだが、それを口にするのも面倒に感じるほどの書類の量に辟易としつつ、ふと視線をレ
ンに向けた瞬間。
「っ、おい」
向けられていた眩しい光を直射し、目を眩ませる。思い切り眉を顰めて眩んだままの目で正面に見える人影を睨みつければ、多少苦味のある笑みを含んだ声が聞こえてくる。
「えっと。だ、ダメだった?」
「声もかけずに撮るな。びっくりする」
収縮していた瞳孔が戻り、レンの姿をしっかりと捉えながら溜息を吐けば、怒られると思って身を縮めていた少年がほっとしたように脱力し、その整った眉を寄せて手を止めている青年に口を窄めてみせた。
「だってマスターが仕事してるところ撮りたかったんだもん」
書類に戻しかけていた視線をレンに戻し、言っている意味が良くわからない、と表情に出せば少年は少し考えながら言葉を紡いでいく。
「えっ
と、こうやってマスターが仕事してるのを見る機会ってあんまり無いじゃん?
オレは結構マスターの部屋に来てるから見てるけど、皆はそんなこと無いだろうし。ってことは、皆が知ってるマスターはレッスンのときとご飯のときぐらいだ
からさ。だから、マスターが疲れた顔しながら仕事してるところも撮りたいな、って」
疲れた顔、と称された自身の顔に手を当てて眉間に皺を寄せた青年は、最後の書類の〆切はまだ日数があることを視界の端で確認すると席から腰を上げた。
「マスター?」
近
づいてくる青年に小首を傾げて見上げれば、先ほどまで寄せられていた眉間の皺が緩んでおり、怒られるわけではないと考えていれば不意にそのまま抱き締めら
れる。唐突な行為ではあるが、拒否するのもおかしいので黙したまま大人しくしていれば手に持っていたデジカメを回収され、今度は眩い光がレンに向けられ
た。
「っうわッ?!」
「結構眩しいだろう」
意地悪い笑みを浮かべた青年の声がちかちかする視界の先から聞こえ、レンは言葉を発さずに頷いてみせる。背中に回された手に押されるまま歩めば寝台へと辿り着き、そのまま軽く押されて寝台のスプリングが軋む音が聞こえる頃にようやく視界が回復してくる。
「中々呆けた顔してるぞ?」
喉奥で笑う青年が瞬きを繰り返しているレンにデジカメの背面を向ければ、先ほど撮られたレンの顔がアップで写っていた。
「うわっ、そんなの残さないでよっ!?」
「それは俺も言えることだがな」
奪おうと手を伸ばすも、レンの手が届く前に上空へとカメラは持ち上げられ、青年は片手で操作しながらふとその表情を曇らせる。
「こんな顔、リンに見られたら何を言われるかわかったもんじゃない」
レンには見ることが出来ないが、どうやら先ほど撮られたものを表示しているらしく、青年はしばらく眉を寄せて見ていたが再び操作してそれを消去してしまう。
「あ゛ーっ! なんで消しちゃうのさッ!」
上
半身を起こして青年からカメラを奪おうとしていたレンも消去されたことがわかり、頬を膨らませて青年に非難の眼差しを向けるが、青年は一度溜息をついて少
年の額を指で軽く弾いた。鋭い痛みが走って呻き声を上げて俯いたレンの耳に、青年のあからさまな溜息が聞こえたかと思えば、カメラを持っていない手で胸元
を押されて寝台に体を沈められる。
「別に見せる必要は無いだろう」
頬に指を伸ばされ、ゆっくりと首へと這わされていき、レンは額を押さえながら眼前にある青年にその翡翠の瞳を向ければ、何処か困惑を交えた笑みを浮かべながら彼が口を開いた。
「俺の疲れた顔は、お前だけが知っていればいいんだ。お前にしか見せない顔なんだからな」
「オレ、だけ?」
よ
くわからない、と眉を寄せてみせれば、小さく苦笑を返されて首筋まで伝っていた指がレンの顎を捉える。動かすことが出来なくなってただ青年を見つめていれ
ば徐々に顔が近づき、唇が重なった。近すぎる顔を見ても肌しか分からないので瞼を閉じ、啄ばむような口付けが彼の唇を開かせ、口内に舌を誘い込む。自らも
拙いながら侵入してきた青年の舌に絡ませれば応えるように吸われ、身体の奥底から熱が生じ始めた。唇が離れても瞼を開けずに全身を預けていれば、ゆっくり
と寝巻が剥がされていく。いつの間にか照明が少し落とされて薄暗くなっているのを瞼越しに知り、頬に触れていた青年の指が焦らすように緩慢な動作で露に
なっている胸の突起の周囲を弄り始める。
「ゃ、マスタァ……」
「ちゃんと触ってほしいか?」
も
どかしい感覚がレンを募らせ、少年はその細い両腕を青年に向かって伸ばせば、青年は彼がしがみつきやすいようにと身を屈め、薄明かりの中で映えるレンの細
い肢体に唇を落としていった。呼吸をする度に胸にある薄桃色の突起が上下し、その周囲を這わされていた指が少し引っかくように刺激すればそれだけで少年の
身体が小さく震える。
「すっかりココでも感じるようになったな」
「そういうの、言わないでよ……」
耳
元で囁かれ、目尻に溜めた涙を零しながら少し睨みがちに視線を送れば、喉奥で笑いを噛み殺している青年が次第に胸から下腹部へと指を滑らせ、下着に指を掛
ける。腰に手を当てられて浮かすよう促され、勃ちあがりをみせている幼茎が下着に引っかかるも青年は手早くレンの身包みを剥ぎ取った。何度身体を重ねても
全身を隠すものが無くなってから向けられる視線に慣れず、少年が恥ずかしさできつく瞼を閉じれば青年の小さな苦笑が聞こえ、その額に唇を落とす。指は下腹
部から徐々に下へと降り、勃ちあがりかけている少年の陰茎に到達すると、手で円を描くように優しく握られる。ピクリと小さく反応を見せるソコの先端に親指
を当てて半円を描くように動かせばその刺激に頭を仰け反らせて悦楽を享受しつつ、幼茎は完全に上を向き始める。片手で陰茎を、もう片手で胸元の突起を捏ね
つつ腹部に唇を当てて紅の痕を残していけば勃ち上がったレンの鈴口からは簡単に粘り気のある液体が溢れ出てくる。
「感じやすくなったものだ」
嘲笑ではなく、本心から感嘆した口調で青年が呟けば、彼の髪を掴んでいたレンが朱色に染まっている顔を見せないように横に背け、青年はそんな彼の様子に薄い微笑みを浮かべながらふと視線をレンの頭の上に置いておいたカメラに向けた。
(……試す価値有り、だな)
浮
かんだ悪戯心に内心一人ほくそ笑みながら、青年は目の前で悦楽に堪えている少年に気付かれないようそのカメラを手に取る。その間も幼茎を刺激することは忘
れず、時折その下に下がる袋にも指を滑らせればレンの肌が粟立ち、今の彼が悦楽を求めていることを容易に知ることが出来た。
次第に溢れさせる粘液の量が増し、青年の手の中で跳ね始める陰茎が達しそうであることを示し、青年は髪を強く握っているレンの腕を優しい手つきで外すとそのまま何も言わず幼茎を口に咥える。
「ふぁっ?!」
手とは異なる、生温かくて柔らかな口内に収められた瞬間レンの陰茎だけでなく体そのものが跳ね、閉じていた瞼を開いて何をされているのかを目にしたレンは自身の股の間から視線を向けてくる青年の視線を真っ向から受けて全身の血が滾る思いに駆られた。「や、やだっ!
ますた、はなしてッ!」
腕を伸ばして制止しようとするも舌で舐られれば腕の動きも止まり、ただ襲い来る淫楽を受け止めるので精一杯になる。止めることも出来ずいいように弄られ、短い嬌声を口から唾液と共に零し、その様を青年に見られていると認識するだけで身体が震える。
「ダ、ダメッ、い、く……、イ、ハッあ、ア゛ァ、ッ!?」
陰茎全てを口内に収められながら舌先を鈴口にほんの少し差し込まれ、その刺激でレンは背中を張り詰めさせながら吐精し、その瞬間眩い光がレンの視界を眩ませた。
「あ、い、まの……んっ!?」
足
先まで小さく痙攣させながら眩んでいる視界で光の正体を探ろうと自身の足元に顔を向ければ、再び閃光が走る。脱力感の余り手で顔を覆うことも出来ず、光が
視界の端を星のようにちらつかせていれば、放出された白濁を手にとってレンの秘部の周囲に指を這わせている青年の声が耳に入った。
「ほう。この暗がりの中でもそれなりに写る、か」
「っ?!」
青年の発した言葉で、先ほどの閃光の正体を知り、レンは身を起こしかけるがその前に目の前の彼が少年の頭の位置までその顔を持ってくる。
「良く撮れてるぞ? レンのイった時の顔」
口元に笑みを湛えた青年がその手に持ったデジカメの背面をレンの目線にあわせて持っていき、レンは徐々に回復してきた視界でその画面を目の当たりにし、絶句した。
写っているのは、口端から唾液を垂らし恍惚とした表情を向けている自身の姿。上気した頬の色や薄桃色の胸の突起までもがはっきりと映し出されており、ひどく淫猥な自身の姿が撮られていた。
「や、やだっ! マスター消してよッ!!」
数瞬呆然としていたレンだがはたと我を取り戻して青年からカメラを奪おうとするが、その前に青年が弄っていた秘部に指を突き立てる。またも腕を中空で固めさせられ、瞳を大きく開いて内壁を擦り始めた指の動きに翻弄されていると、青年が再びシャッターを切る。
「ぁ、や、やだっ! とらな、いで、よぉッ!」
羞恥心に涙を零すがその声も全てシャッター音に乱され、山吹色の髪を振り乱せばふとその音が止まる。
「俺しか見ないんだ。気にするな」
「そうい、もんだいじゃ、ない……っ!」
喉
で笑う青年に恨みがましい視線を向けるが、指を引き抜かれて宛がわれた熱に意識を向けさせられる。目線を自身の下半身に向ければ、萎える事無く勃ちあがっ
たままの幼茎の先に、青年が怒張の先端を秘部へと宛がってすぐにでも突き入れられる体勢になっているのがわかり、レンはその身体を萎縮させた。普段余り青
年のモノを目にすることは無いが、自分のものとは比較対象にするのも憚るほどの大きさが目に入り、それが自身の内に入ってくるは思えず、身体に緊張を走ら
せた。
「なんだ、今更じゃないか。何回お前が咥えてると思ってるんだ?」
失笑を漏らし、青年は固く閉ざしてしまった少年の秘部に自身のモノを擦り付けながら勃ち上がっているレンの陰茎の先端を指で一瞬掠める。
「ふぁっ、――ヒィ、グッ?!」
脳天まで走る悦楽に身体の力が知らず抜け、その瞬間青年は開いた秘部へと自身の先端を突き入れた。ズッ、と肉の擦れる音と共に先端のみを少年の身体の内に収め、そこで一旦動きを止める。
「ほら、挿いった」
レ
ンの耳を舌先で舐めながら囁けば、身震いをしながら荒い吐息を漏らす少年の表情が次第に淫靡な艶がかったものに変貌していくのを見て取り、青年は締め付け
てくる秘部の更に奥へと怒張を押し進める。根本まで挿れず、少しばかり余力を残した位置で動きを止め、貫かれた衝撃に身を震わせているレンを再びフラッ
シュが襲うが、彼にはソレを止める術も力も、今やなくなっていた。
「見てみろ。イイ顔してるじゃないか」
律動を再開した青年が、虚空を見つめているレンの目線に今映した画像を見せ付ける。涙でぼやけた視界の中で垣間見えた画像には、少年の幼さが残る全身が映し出されており、青年の怒張を咥え込んでいる様までもが映し出されていた。
「ぁ、や、だぁっ!」
貫
かれた衝撃で思考回路が麻痺していたが、その画像でレンの正気が呼び戻される。腕を伸ばして奪おうとする意思を見せるが、青年は器用にカメラを反転させて
レンズをレンに向け、ピントもろくに合わせずそのままシャッターを切る。眩しい光がレンを照らし、その光が一瞬薄暗い部屋をも照らし出し、昼間のような明
るさが目に焼きつく。
「……嫌だ嫌だという割に、ココは撮る度にきつく締めてくるが?」
「そ、なこ、ぉ……ッ!」
余り深く貫かず、秘部の先を細かく突いている青年が空いている手で自身の怒張を咥えているレンの秘部へ指を這わせる。
「違わないよな? さっきから撮られる度に感じてるんだろう?」
「ち、が、ァあッ!」
連続で切られるシャッター音がレンを襲う。顔を隠そうにも秘部へと走らされていた青年の腕で絡め取られて頭上で拘束されてしまい、抵抗することが全く出来ず全てが成年の手の中にあるデジカメへ収められていく。
カメラ越しに見るレンの淫猥な姿に気付かれないよう喉を動かし、青年はシャッターを切りながら徐々に律動を速める。根本まで突き入れては先端を残して引き抜き、その度に頭を仰け反らせるレンの姿を写真に残していく。
「やだ、や、だぁっ! ヒ、ィあ゛、ぅイ、ア゛、ぃく、っちゃうぅ……ッ!」
突き入れられるたびに前立腺を突かれ、強すぎる悦楽が身体を駆け回り、しがみつけるものも無く嬌声を繰り返し――
「イ、 くぞ……っ」
「ヒッ?! あ、ナ、ナカぁあ゛ッ!!」
――
青年が大きく内壁と共に前立腺を擦り上げながら最奥で達し、少年の狭い内部で白濁液を放出させ、受けきれないその量が秘部から溢れ出す。腸の奥で放たれた
熱にレンも二度目の絶頂に達し、薄まった精を自身の腹の上に撒き散らせば、再び室内を光が包み、白濁に塗れた淫猥な姿を撮られる。幾度も内部で跳ねては熱
を吐き出す青年の一物をきつく締める少年の秘部は濡れ光り、収まった吐精と共に引き抜けば新たに吐き出されても飲み込まれなかった白濁がレンの肢体を濡ら
した。短く呼吸を繰り返して放心している少年の上にのしかかり、彼は汗なのか唾液なのかわからない液体でドロドロになっているレンの頬に口を落とし、愛お
しげに抱き締める。虚ろな瞳のまま背中に回された青年の手に触れながら下肢を痙攣させているレンは言葉を発しようと口を開くが、その前に青年に口付けを求
められているのだと勘違いされて呼吸がつまる。
「ちょ、ちがうっへ……」
呂律が上手く回らず舌足らずになりながら強く抱き締めてくる青年を見つめ、ようやくまともに思考が働き始める。
「……撮った奴、全部消して」「却下」
レンが言い終わらないうちに否定して青年は微笑みを彼に向けた。
「さっきも言っただろう。俺しか見ないんだから気にするな」
「ふるに決まっへるゃんッ!!」
口調だけ強く言い返すも全身を包む脱力感に抗うことは出来ず、きつい視線を向けるに留まり、カメラを奪うことは出来ない。頬を膨らませて抗議の視線を向け続ければ、青年は少し眉を下げて少年の山吹色の髪に口付ける。
「お互い、そいつにしか見せない表情があるっていうのは良い事だろう?」
「……だとひても、残ひておく必要ない」
「お前はさっき俺の疲れた顔撮ってただろうが」
「それとこれとは別ッ!!」
淫猥な行為の後とは思えない言い合いが互いの口から発せられるが、互いにこびり付いた痕は情事が決して夢などではないことを物語っており、何よりも――
「ほれ、こんなのも撮れてるぞ」
「マスターさいてーっ!!」
――カメラのメモリが、全てを映していた。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆
――取っておきたい記憶。
――取っておきたい夢幻想。
――全てを残すことは叶わず。
――一部が残るからこそ美しく。
――美しいからこそ、儚く愛しい。
――撮りつくせない想いが世界にあり
――撮りつくせない光景を記憶に残す。
――撮られたものは所詮一部にしか過ぎず
――一部だからこそ、想い出は綺麗なまま。
――情事の光景も、彼らの多大な“想い出”の一部に、過ぎなかった。
――了――
アトガキ(という名の戯言)
期待に応えられない駄文作家です、こんばんは。(挨拶)
いい加減更新速度を落とそうかと模索中。っていうか、来てくれる人もわざわざ確認しなきゃなんないから面倒で仕方ないでしょうし。一週間に一回(例えば土曜)とかにまとめてうpとかにしようかなと。本数変わらないけどボカロサーチに行く回数は減るでしょ?ミンナラクダヨー(笑)
ま、どうするかはカウンターの回り方で決めます(苦笑)
とりあえず、以前ウダウダ抜かしていたビデオ撮りと繋げようかとも考えたんだけど私には以前の作品の後日談なんか出来ないらしいよ。駄文作家だね、つくづくww
今回はぇろだけどあっさり目に書いたつもりです。濃いには濃いんだろうけど、如何せん私はオフ本の濃さはこんなもんじゃないから(苦笑)
シチュエーションとしては結構好きです。いつもの如くレンレン乙女なのはもう大前提で書いてるんで仕方ない。もう私にはレンレンがショタレンかオトレンにしか見えないから。←願望混じってないか?
んで、たまには真面目なアトガキも。
写真。今回はああいう手段に使いましたが、普通の全年齢でも書けたよね。ちょっともったいないかなとも思ってます。安易なネタとしての使い方にね。
記
憶って酷く曖昧だけど、写真に限らず何か昔自分が作ったものとかを見れば思い出す光景ってあるよね。私も何個もあるし、多分それは人それぞれ個数とか物は
違うだろうけど何かしらはあると思う。曖昧で、おぼろげで、忘れてしまっても、ソレを見れば思い出してあったかい気持ち、もしくは嫌な思い出なら「あんな
こと言われたなぁ」とか思い出す。
思い出す、という行為が出来るのは、言ってしまえば余裕がある人だけ。繊細に巻き込まれる続けている日本からは何万キロも離れた何処かの国や、日々の生活で一杯一杯になってる人はそんな余裕もないかもしれない。
私は、自分が幸福な人間だと思ってはいないけど、逆に不幸な人間だとも思っていない。世界で日々懸命に生きている人々はそれがフツウなのであっても、やはり生活的に上位者である身から見れば不公平であるから。
昨今、やたらと人が死ぬニュースが多いと思います。特に若い世代。ニュースと言ってもmixiのニュースとか18時ぐらいからのTVをチラ見するだけですから他にも色々あるのでしょうけど、10代から20代の人が簡単に自らの命を絶ったり、絶たれたりしてます。
「死ぬのは勝手」。
確かにそうでしょうけど、何故遺
書などを残す力はあるのに周りに助けを求めないんだろう、って思う。私は今でも情緒不安定な気質ですが、それでも生きている。死にたいって思ったことが無
いわけじゃないし、リスカはしなかったけど自分の体を傷つけることが無かったとは言わない。
そしてそれを後悔もしていない。
私は生きてるから。生きて、二次ではあまり機会は無いけど文章を拙いなりにも書いて自分の言いたいこと、伝えたいことを表現しているから。
話が逸れてる様に見えるけど、繋げると、表現として「写真」もある。
文章を書くのが苦手。
絵が描けない。
音感無い。
別にいいじゃない。それで何かが終わるわけでもない。それに、写真はピントを合わせれば写る。そしてぼかすことで表現できるものもある。写真を嗜んでいるわけではないから深いことは分からないけど、それでも写真家が撮る一瞬の光景は肌があわ立つこともある。
それも一種の表現。
もっともっと、若い世代の皆は「表現」を身につけるべきだと思う。私も(一応ゆとり世代ではない)まだまだ若い世代だろうけど、9個下の後輩の表現力(口下手も個性ではあるけどね)の無さに困ったことがあるから言える。
表情
会話
日常生活で言い辛いことがあるからと対人から逃げるのではなく、対人も出来てネットでも友好を気付ければ良いと心から思ってる。
長くなったけど、私が今回この作品を書いてて考えていたのはこんなところ。考えをぶつける作品というのは基本一次創作でするもんだと思ってるからあまり作品中では公にしなかった(つもりだ)けどね。
長々とこんなところまでありがとうございました。
皆様の平穏な無事な生活がいつまでも続きますよう――
2008/06/07 伴 和紗 拝